「
欧米、缶詰の有望市場」 (日本経済新聞 2005/11/23 朝刊より)
◆・・・米国の缶詰加工会社と買収交渉していたがこのほど現地のライバル企業に「入札で競り負けた」と残念がある。ニチロはサケ・マスなど米缶詰市場でシェア約三割を持つ最大手。一段の拡大を狙ったものの「予想外の高値がついた」という。
◆・・・日本では缶詰市場は成熟分野だが「欧米では有望市場。スーパーの陳列棚が増えるほど引き合いが強い」。ニチロも水産物を中国工場で加工して欧米に輸出する体制作りを進めており「良い買収案件があれば成功させたい」と野心を燃やす。【ニチロ社長 田中龍彦氏】
(引用終了)
ニチロの戦略は、いわゆるアンゾフの成長ベクトルでいう「
市場拡大戦略」と呼ばれるものである。通常、企業が既存事業での市場浸透戦略による事業の拡大が難しくなった場合には、何らかの手を打つ必要が出てくる。そのひとつが「既存の商品」を「新しい市場」に投入する「市場拡大戦略」である。
今回のニチロの事例では、国内の缶詰市場が成熟状態となり、すでに国内の市場だけでは事業の拡大が望めないことに対して、国外というより新たな市場に既存商品を投入することで活路を見出そうとしているように思える。ただし、ニチロの場合はすでに米缶詰市場で確固たるシェアを持っているので、市場地位の確立強固といった部分のほうが強いのかもしれない。
新しい市場を見つける場合には、一般的には顧客を細分化し、ターゲット顧客を変えることが多いだろう。子供向けに販売していた玩具を、大人向けの玩具として発売し直すとか、そういった類のものである。
ニチロのように新市場を求める際に、国内という市場にとどまらず、国外という大きな舞台で勝負するのも夢があって面白いかもしれない。昨今、中国・インドなどにも日本企業が進出してきている。世界の人口の1・2位を占めるこの強大な市場に対して勝負しようとしているのである。これらも市場拡大戦略の一環といえる。
また、この巨大な市場は、いまだ潜在的市場であり、かつ、未開拓の市場でもある。だからこそ、リスクが高いが、その分だけリターンも大きくなる可能性を秘めている。
経営者は、国内市場という狭い視野にとらわれず、時にはグローバルな視点をもって市場を見つける発想も大切なのではないだろうか。■最後まで読んでいただきありがとうございました。
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