「小さな会社にも活用できるバランス・スコアカードの創り方」伊藤 一彦 上宮 克己(著)
「バランススコアカードの本は、多数出版されているが、どれも大企業の事例ばかりで中小企業にあった事例が少ない。中小企業にも導入できるのだろうか?」という疑問を明確に解決するというコンセプトで作られた本。本書は、バランス・スコアカード経営を実践している中小企業の社長と多数の中小企業へのバランス・スコアカード導入を支援しているコンサルタント(中小企業診断士)による中小企業のためのバランス・スコアカード導入手引書です。
■目次
第1章 社長が語るバランス・スコアカード成功の法則
第2章 バランス・スコアカードの基本
第3章 バランス・スコアカードの作成
第4章 中小企業のバランス・スコアカードの活用事例
■個人的コメント
ひと言でいうと、自社のバランススコアカードソフトを売るための完全な宣伝本です。二人の著者による共著だが、まさに2冊の本を1冊にした感じの本。
営業創造の社長自身が書いている前半の第1章と第2章は、非常に読みやすくわかりやすい。ざっくり読んでバランススコアカードの概要を知るにはオススメである。社長自身の経験に基づいた実際のバランススコアカード導入の苦労なども載っているので参考になります。
ただし、詳細に読んできちんと理解するにはちょっと不向きな書でもある。実績を書いたというよりかは、この本のために後付けで脚色をした記述した箇所が結構ありそうだ。たとえば、本書内にバランススコアカード導入の効果として、ベンチャーキャピタルからの投資を受けたことが記述されている。一方で、別の記述では、バランススコアカード導入段階の内部環境(自社の強み)のところでも、ベンチャーキャピタルから投資を受けたことをあげている。ということは、バランススコアカード導入する以前から、すでに投資を受けているはずであって、バランススコアカード導入の効果でも何でもないんじゃないの?みたいな疑問を生じさせる矛盾した記述が見つかるからである。もうちょっと、つじつまのあった記述だったら良かったんですけど。
また、中小企業診断士が書いている後半の第3章のバランススコアカードの作成の章は、書いている内容は非常に良いことばかりなのに、本としてたいへん読みづらい出来だ。同じ文章や言い回しが、しつこいくらい使われているのだ。正直、重要なので繰り返しているのか判断できかねるところ。書くことがないなら本を薄くすればいいのにというのが本音です。
気になったところとしては、本書内の「戦略」という言葉が、一般的な「戦略」と異なる使い方をしているので、読んでいて正直、混乱してしまうかもしれない。一般的に「戦術」や「アクション」と呼ばれるもの一つ一つを、「戦略」と呼んで表現しているようだ。
残念ながら、添付のCDも本の内容をただ声でプレゼンしてくれるだけの完全なるおまけ。実際にソフトを触れるかと期待して買ってみたのだが、画面の紹介のみという期待はずれな結果に。
ちょっと辛口評価になってしまいましたが、中小企業の経営者向けの本になります。特にオススメの一冊にはなりませんが、人から借りて一読してみるものもよいでしょう。
■最後まで読んでいただきありがとうございました。
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